規模が大きい…だけじゃない!
Evolution Championship Series、通称EVOは毎年夏にアメリカで行われる格闘ゲームの大会です。しかし、ただの規模が大きい大会という言葉だけで終わるにはあまりにももったいない、EVOならではの独特な空気感があります。
そのルーツを辿ると、90年代半ば頃にカリフォルニアでストリートファイターの大会が開かれました。初期は体育館のような会場でしたが、ラスベガスに会場の舞台を移すと参加者がみるみるうちに増え、2019年には延べ人数14000人を超える超大規模なイベントとなりました。
その後、新型コロナウイルスの蔓延により一時中止されましたが、2022年度より復活し、再び活気を取り戻そうとしています。
現在の会場はマンダレイ・ベイという巨大なホテルを使用しています。中にはカジノやプール、水族館までもあり、まさに皆様のイメージ通りの華やかなラスベガスという印象です。また、ラスベガスはホテル同士がつながっており、隣にあるピラミッドを模したルクソールというホテルでは前夜祭、後夜祭も行われたこともあります。
EVOではその年度の新作や、プレイ人口が多いゲームをもとにメインタイトルが選ばれます(だいたい9タイトル)。メインタイトルはそれぞれ千人規模の参加者が世界中から集まり、また世界中に配信されています。3日間のスケジュールのうち、特に参加者が多いタイトルは2日間の予選を経て、最終日にはスポーツスタジアムのような会場で決勝トーナメントが行われます。日本ではまずお目にかかれない、スケールの大きい演出は見ものです。
メインタイトル以外の大会も活発です。その広々とした会場を利用し、サイドトーナメントという参加者自らが企画した大会も行われています。こちらで選ばれるタイトルはレトロなゲームから同人ゲームまで数えきれないほどあり、格ゲー世界の広さを実感します。
日本のコミケを彷彿とさせる、アーティストアレイというコーナーも用意されています。二次創作グッズやイラストを展示販売しているコーナーもあります。単にプレイヤーとしてのみならず、ゲーム自体に対する愛が深い人々が集まるイベントといえるでしょう。
そして2022年度から、アケコンミュージアムのブースも登場しました。格ゲーの歴史にはアケコンの歴史も欠かせません。世界一のアケコンコレクターであり、EVOの運営スタッフのひとりであるMarkmanのコレクションを展示しています。
ドラマが生まれるステージ
EVOは世界中からたくさんの選手が参加し、腕を競っています。近年のタイトルはワールドツアーとして、大規模な大会結果の累計ポイントでそのタイトルの決勝大会が行われるものが多いですが、EVOのみポイントが多めに設定されている大会もあり、特別な大会として扱われています。
また、ダブルイリミネーション(敗者復活戦あり)とはいえトーナメント戦ですので、一試合に掛ける緊張感もひしひしと感じます。優勝候補が予選で敗退してしまったり、ノーマークの選手が突然結果を出したりと予想がつきません。その手に汗握る展開はEVOならではといえるでしょう。
また、EVOは制作メーカーによる新作や新キャラの発表の場としても使われます。決勝の大舞台での発表は会場が歓声に包まれ、大会終了後もプレイヤーたちは高いモチベーションでゲームを続けていきます。
参加してみたい方に向けて
EVOはその規模感から参加するのは特別な方法が必要に思われがちですが、実際のところ、どなたでもエントリーできます。新型コロナウイルスや円安の影響で2022年度は減りましたが、例年は数百人の日本人が出場しています。
海外で行う大会のため、渡航が不安という方もいらっしゃいますが、格ゲーのコミュニティには毎年のように参加している人もおり、そのプレイヤーに向けて手順などを聞いてみるといいでしょう。我々アタッサも毎年物販ブースで参加していますので、気軽にお問い合わせいただければと思います。
また筆者の主観ですが、通常の海外旅行と比較して言葉の壁もあまり気にする必要がないのではと感じます。海外プレイヤーは日本語を学んでいる方が多く、こちらに配慮してくれているのかゆっくりと話してくれる方が多い印象です。そして何よりゲームの画面内では言葉は不要です。
試合の結果はどうあれ、握手を交わせばとても気持ちのいいコミュニケーションとなります。海外プレイヤーとの交流をぜひ楽しんでいただきたいものです。一度参加すれば、一生の思い出になることは間違いありません。