レバーレスコントローラーの普及
格闘ゲームは元々ゲームセンターでの対戦がメインであり、アケコンはゲームセンターの環境を家庭でも再現するためのアイテムでした。しかし近年はストリートファイターVのように、家庭用のゲーム機やPCでの対戦が主戦場となっています。
そのため、言い換えればコントローラーはゲームセンター基準である必要はない、とも考えることができます。また、実際に人口は少ないながらもPCでの格闘ゲームをキーボードで行うプレイヤーもいました。
アメリカのHit Box Arcade社によって生まれたのが、現在のレバーレスコントローラーの主流となる形状です。左手部分にレバーがなく、かわりにボタンが並んでいます。通常のアケコンではレバーで行う操作を、ボタンの入力で行うものです。
また、通常のアケコンは30mmのボタンが使われますが、hitBOXは24mmにされているのも特徴です。誕生したころ(Playstation®3が最新であった頃)はアイデアこそ話題になったものの、まだゲームセンターが主戦場であったこともあり、そこまで多くは普及しませんでした。
しかしストリートファイターVが多く遊ばれると、レバーレスならではの優位性が評価されるようになり、実際にプロプレイヤーがレバーレスを使用して大きな大会で結果を残し始めると、瞬く間に人気のコントローラーとなりました。
現在では通常のアケコン、ゲーム機付属のコントローラー(パッド)に加え、3つ目の選択肢としての地位を確立しています。
余談ですがレバーレスコントローラーはhitBOXのみを指す言葉ではなく、通常のアケコンと同じ30mmのボタンを採用したもの・左手部分の構造がキーボードのWASDキーを模したものなども含まれます。
レバーレスコントローラーの特徴
改めてレバーレスならではの特徴について説明しましょう。大きく2つの点があります。
・1.コマンド入力や、ガードが最速で行える
レバーレスの独自入力テクニックについては数が非常に多いので割愛させていただきますが(詳細が気になる方は【ゴジライン】様の記事をチェック!)、通常のレバーに比べて入力が早く、前後を素早く切り替えて歩いてガードする行動が得意です。
プレイするゲームのタイトルに依存しますが、昇竜拳のコマンドなどが簡単に入力でき、とっさの対空行動なども強化されます。総じて防御面でのメリットが強く出るのがレバーレスの1つめのメリットです。
・2.コントローラー自体が薄く、小さく軽いものが多いので持ち運びなどに強い
通常のアケコンはレバーがついている分、構造上どうしても一部分だけが高くなり、持ち運びや保管に影響が出ます。また、ある程度のサイズや重さがなければレバーを横方向へ倒した際に安定しなくなってしまうので、コンパクトな設計をするには限界があります。
その点レバーレスはすべてがボタンとなっているので薄く、また横方向の力も必要がないため最低限のサイズや重さでも問題ありません。実際に海外ではタブレット端末サイズのレバーレスも人気となっています。
レバーレスに欠点はあるのか
大会で結果を多く残しているレバーレスコントローラーですが、上記のような優れた特徴だけではなく、実際のところ欠点はないのか不安に思われる方もいるかと思います。
正直なところ、レバーレスの仕組み自体に目立つ欠点はありません。しかし、環境や外部的な部分によって発生する懸念点はございます。こちらも二点記載します。
・1.操作に慣れが必要であり、ゲームによってはメリットを生かしにくい
通常のアケコンを使い慣れている方は、直感的に理解できるレバーに比べ、どうしても最初は違和感が強いかもしれません。また展開が早く、常に連続した操作を求められるタイプのゲームではその特徴や、入力テクニックが発揮できないことがあります。
・2.PlayStation®正規ライセンスを取得した完成品がない(2022年9月現在)
購入してすぐ使える通常のアケコンは、多くがPlayStation®のライセンスを取得した製品となっています。これは一種の動作保証のようなもので、仮にPlayStation®の本体ソフトウェアのアップデートがされても動作するとお墨付きをもらっている状態です。
しかし現在流通している完成品レバーレスコントローラーは、ライセンスを正規に取得しているものがありません。場合によってはPlayStation®のアップデートで認識しなくなる可能性があります。
尚、既存の通常アケコンを改造したレバーレスの場合は基盤自体共通のため、アップデートに関わるリスクは低いですが、代わりにアケコンメーカーの製品保証から外れることとなります。ご注意ください。
とりあえずレバーレスを試してみたい方へ
最後にアタッサからアイテムを紹介。通常のアケコンをベースとし、お手軽にWASDキーボードタイプのレバーレスコントローラーへと変身させる、Cardimod+ WASD/TUです。
レバー部分を一度外す必要はありますが、穴あけなどその他の加工は一切必要なく、配線をこちらに差し替えるだけで完成します。
レバーレスに興味はあるけど、そのために新しいアケコンを一台買うと考えるとなかなかの出費です。Cardimod+は今お持ちのアケコンがあれば始められ、また元に戻すこともできるので、まずはその操作を体験したい方にはピッタリのアイテムといえるでしょう。
レバーレスコントローラーはアケコンの世界に風を吹き込み、プレイヤーの新たな選択肢として活気づいています。また、それに合わせたカスタムパーツも普及してきました。
家庭用のゲームからスタートした文化ですが、逆輸入的にゲームセンター筐体にレバーレスが導入された所もあるようです。新作のゲームや新キャラクター追加のタイミングをきっかけにレバーレスに触れてみるのもいいかもしれません。
今後の発展にも注目すべき、レバーレスコントローラーの解説でした。